後立山南部(長野) 爺ヶ岳中峰(2669.9m)、南峰(2660m) 2022年7月18日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:47 柏原新道登山口−−2:44 ケルン−−3:46 アザミ沢−−3:55 ガレ沢−−4:18 種池山荘−−4:57 爺ヶ岳南峰−−5:10 爺ヶ岳中峰 5:39−−5:55 爺ヶ岳南峰−−6:26 種池山荘−−6:35 標高2410m付近−−6:50 種池山荘−−8:13 柏原新道登山口

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2022年7月18日 日帰り
天候曇時々雨。北西の強風
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口前に駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望南峰、中峰とも邪魔するものがなく晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント2日前の白馬岳の疲労も考慮して爺ヶ岳へ。予想より天気はマシだったが小雨が落ちてきたときは焦ったがごく短時間だった。柏原新道の残雪はアザミ沢とガレ沢だが、どちらもしっかり雪切されておりアイゼン不要だった。種池山荘南側のお花畑の開花はこれからでしばらく楽しめそう。稜線のミヤマダイコンソウはピークを過ぎて来週には散ってしまいそうだった




駐車場にまだ空きあり 大町の夜景。修理済みのデジカメだから撮影可能
深夜の扇沢駅 アザミ沢の残雪
ガレ沢の残雪。しっかりと雪切されていた 種池山荘
爺ヶ岳を目指す。まだ天気は良かった 爺ヶ岳南峰直下
爺ヶ岳南峰 爺ヶ岳南峰から見た中峰
爺ヶ岳南峰から見た360度パノラマ写真(クリックで拡大)
次は中峰へ 中峰山頂到着前にガスが襲来
爺ヶ岳中峰から見た南東〜南〜西〜北の展望写真(クリックで拡大)
爺ヶ岳中峰から見た南側の展望。餓鬼岳までしか見えない 北西方面はガスが断続的にかかっていた
色からしてたぶんアズマシャクナゲ コケモモ
ミヤマダイコンソウ。もう終盤 ゴゼンタチバナ
イワギキョウの蕾 クモマスミレ
爺ヶ岳南峰 中峰〜南峰間の鞍部南側の残雪
鞍部南側のハクサンイチゲ 鞍部の駒草
キバナシャクナゲ 南峰から県境稜線を下る。ピーク付近はガスがかかる
セリ科の花は似ているものばかりで判別困難 葉の形状から判別しようとしたが分からなかった
花だけではハクサンボウフウかシラネニンジンか判別困難 葉の切れ込みからしてシラネニンジンのようだ
ツマトリソウ 早くもミヤマアキノキリンソウ
振り返ると南峰にもガスがかかりだした ヤマハハコ
マイヅルソウ アカモノ
コイワカガミ ナナカマド
チングルマ アオノツガザクラ
ミツバオウレン ショウジョウバカマ
登山道から離れた場所はチングルマのお花畑 僅かに残雪あり。来週には確実に消えるだろう
種池山荘近くはミヤマキンポウゲが多く花盛り 種池山荘
ミヤマハタザオっぽいが自信なし 種池
種池に一株だけ咲く水芭蕉 ヒメイチゲ
テント場。30〜40張程度 テント場の案内看板
サンカヨウ キヌガサソウの群落
オオバキスミレ 岩小屋沢岳方面
クルマユリ ハクサンフウロ
種池山荘から柏原新道を下る ミヤマキンポウゲのお花畑
テガタチドリは咲き始め コバイケイソウの群落。花のピークはこれから
ミヤマキンバイ たぶんキバナノコマノツメ
オオバミゾホオズキ ノウゴウイチゴっぽい
ヨツバシオガマ ユキノシタ科のどれか
カラマツソウ ガレ沢の残雪。雪切されアイゼン不要
アザミ沢の残雪。来週には消えそう ベニバナイチゴ
オオバキスミレの群落 ズダヤクシュ
ギンリョウソウ オオバギボウシ
ハクサンオミナエシ。まだ蕾の状態が多かった シロバナニガナ
アジサイ 登山口のウツボグサ
登山口のキオン 登山口に救急車が!
消防車も来ていた


 この3連休は戻り梅雨で前線が本州付近に停滞して、連日のように大気の状態が不安定。天気予報でも曇後雨とかの連続で晴れマークが無い状況で、雨の隙間を縫って登るしかない。そうでないと3日間とも下界でゴロゴロしてストレスが溜まる羽目になってしまう。

 連休初日は雨覚悟で白馬岳に登り、結果的には雨に降られずに下山できた。2日目は完全休養日とし、3日目は比較的行程が楽な爺ヶ岳とした。ここに登るのは2ヵ月ぶりであり、既に種池山荘の営業が始まっており、柏原新道の残雪がある場所は小屋のスタッフが雪切りしてアイゼンなしで通行可能とのこと。念のためにSNS等で柏原新道を歩いた直近の記録をいくつか読んだが、残雪の通過に関しての情報はほとんど無かった。ということは記録の中でわざわざ触れるような危険は無いということだろう。

 登山口へは夜7時に到着。通常の3連休なら駐車場は満車に近く、長いスノーシェッドを下った先の駐車スペースにも車があるはずだが、今回は皆無。そして登山口の目の前の駐車場は半分程度の空きがあり、想定外の車の少なさ。それだけ天気予報が悪く入山者が少ないのだろう。駐車場の端を確保して酒を飲んで仮眠。今回も天気は期待できず山頂での日の出は狙わないことにしたが、例のごとく日が高くなるにつれて雲が沸いて雷雨の可能性が高くなるので、さっさと登ってさっさと下山するのはいつもの通り。予報では午前中は曇りの予報だ。

 起床は午前0時過ぎを計画してたが目覚ましのアラーム設定を忘れてしまい、夜中1時に起床。上空は雲に覆われているが隙間が多いようで月明かりが漏れていた。予報通り早朝は雨は無さそうで、今回は雨装備はボロいゴアのみとした。ただし予報では西寄りの強風とのことで防寒装備は少し多め。アイゼン等の雪装備は無しとした。

 早過ぎる朝飯を食っているとLEDライトの光が登山口へと吸い込まれていった。私と同じく夜間登山者だが、今年に入って初めて見た。私の出発時刻との差は30分程度あったので追いつくことは無かった。

 この連休はずっと天気がイマイチで日中の気温がさほど上がらなかった影響もあるのだろう、出発時の気温は低めで快適。でも暑さ対策はいつも通り。前日は雨が降ったはずだが柏原新道は泥沼になる場所がほぼ皆無であり、体に触れる藪もほぼ皆無なので雨上がり直後でも歩きやすい。

 往路の樹林帯歩きは真っ暗な時間帯なので花の探索は下山時に行うことにして、周囲はあまり気にせずに歩き続ける。樹林の隙間から時折見える狭い範囲の空には月明かり。これで稜線に雲がかかっていなければいいのだが、星が見えない夜空では開けた場所でも稜線のシルエットは判別できず、稜線にガスがかかっているかは分からなかった。

 今回は修理が終わったデジカメの威力を実感。真っ暗闇の中で樹林の隙間から見えた大町市街の夜景が手持ちでもブレずに撮影可能であった。そもそも今までのデジカメでは感度が低く遠い町明かりは写らないのであった。照明に照らされた扇沢駅はズームで倍率を言上げて撮影したが、これまたブレが無かった。ズームを使うとズームを使わなかった場合と比較して、同じシャッター速度でも格段にブレやすくなるが、感度が高いことと手振れ補正が以前より強力になっている両者のおかげだろう。

 標高2000mの目安である「一枚岩」の標識を通過する頃には更に気温が下がって運動量が多い登りでも快適に歩けるようになったが、やや風が強いのが気になる。これだと稜線は結構な強風かもしれないが、予報ではそうだったので仕方がない。

 ちょっと心配だった残雪状況だが、アザミ沢はほんの数m程度だがしっかりと雪切りされてノーアイゼンでも問題なく通過。最大の難関と予想されたガレ沢には長さ20m程度の残雪があったが、ここも幅広くきれいに雪切されて、傾斜があるところは階段状に雪が着られて至れり尽くせりの状態だった。これならトレランナーでもアイゼン無しで安心して通過できるだろう。

 私がアザミ沢を通過して小尾根を回り込んだところで、ガレ沢を横断し終わって開けた斜面を登っている先行者のライトを発見。思ったよりも時間差は少なかったが、先行者を追い越すことはなかった。追い越すつもりはないけど。

 森林限界を抜けて種池山荘前の開けた斜面を登っていると、まだ雪解け直後らしく花は少ないがぼちぼち咲き始めていた。コバイケイソウも咲き始めで来週くらいがピークだろうか。雪が遅くまで残る上部はまだ枯草だけで、早く雪解けした下部にチングルマのお花畑が広がっていた。

 種池山荘前を通過時はまだ周囲は暗く、窓の明かりが眩しいくらいだった。山荘前にはこれから出発する人の荷物だろうか、LEDランタンが灯っていたが人の姿は無かった。頭上は雲に覆われて蓮華岳、針ノ木岳は雲の中で山頂は見えないが、南峰にはガスはかかっていない。さて、このまま天気が持つかどうか。

 僅かに残雪の残る稜線南側の道から稜線直上のハイマツの切り開きの登山道に出ると立山、剱岳、鹿島槍が姿を現すが、いずれも雲の中で山頂は見えない。劔岳北方稜線の池平山や小窓ノ頭は雲の下なので、雲の底は標高2600m程度のようだ。ただし鹿島槍は布引山まで雲の下で、もう少し雲の底が高いようだ。

 ハイマツ帯から一時的に矮小なシラビソ樹林に変わり、再びハイマツに変わる箇所で本格的に風が強くなりそうな気配で防寒装備装着。風向きは北西であった。登りでライチョウを探しながら歩いたが今回は発見できず。稜線がガスに覆われれば出てきてくれる確率が高いのだが残念。でも雨が降らないだけマシだろう・・・と考えていたら小粒の雨が! 体が濡れるほどではなく短時間で止んだが、空の明るさから予想するよりも天気が悪そうだ。今回の雨装備は貧弱なのでちょっと心配になる。

 南峰までの登りでは花を探しながら歩く。ハイマツ帯ではツマトリソウ、マイヅルソウ、コケモモ、アカモノ、シャクナゲ(アズマシャクナゲかハクサンシャクナゲ)、セリ科の花(ハクサンボウフウかシラネニンジン)、ゴゼンタチバナくらいか。チングルマは咲き終わって綿毛に変わっていた。残念ながらこの稜線は花が多いとは言えない。

 無人の稜線を登ってガスがかかる前にまずは南峰山頂に立って写真撮影。南側は雲や霞で餓鬼岳、唐沢岳、有明山までしか見ることができない。おそらくそれ以南の常念山脈や槍穂はガスの中だろう。本日の選択の爺ヶ岳は正解だった。

 爺ヶ岳中峰〜南峰の稜線で見られる花はミヤマダイコンソウが中心だが、今年は早くもピークを過ぎて花が散り始めていた。来週には大半が散ってしまいそうだ。

 風の強い南峰を後にして次は中峰へ。蓮華岳にかかっていた雲の層は先ほどよりも低い位置に降りてきていて、西側を見ると僅かに靄がかかり始めた。中峰にガスがかかるのも時間の問題かもしれないが、どのみち今日はあまり展望は良くないのでガスがかかっても大差なしだ。

 南峰〜中峰間の鞍部ではコマクサが咲き誇っていた。昨年よりも数が多いような。強風で揺れまくってブレるのは確実なので、もう少し周囲の明るさが増す帰りに写真撮影することにして往路は素通り。鞍部南側はまだ残雪があり、その周囲にハクサンイチゲが咲いていた。爺ヶ岳でコマクサとハクサンイチゲが見られるのは鞍部のみである。

 縦走路を離れて中峰の登りにかかると残念ながらガスが周囲を覆ってしまう。タッチの差で山頂到着に間に合わなかったが、稜線で見られるミヤマダイコンソウやクモマスミレ、コケモモ、シャクナゲの花を楽しむには支障はない。

 無人の爺ヶ岳中峰山頂に到着。冷たい北西の風が強く、南東側に僅かに下った斜面で休憩。白馬岳日帰りから中1日で登ったが、意外と足への疲労感は通常と大差なかった。ずっとガスっているかと思ったらガスの切れる時間もあり、それを狙って写真撮影。でも鹿島槍の山頂部はずっとガスの中だった。東の空は雲海で北信五岳が雲海に浮かんでいるのが見えたが、志賀高原の山々は雲がかかっているのか全く見えなかった。山頂には時々ガスがかかるが頭上の空は高い位置に薄い雲があるだけで、隙間から青空も見えて基本的には天気が悪いわけではないようだ。高い稜線にかかる雲さえ無ければそれなりの天気だろうに。

 中峰で休憩中にやってきた登山者は3名で、1名は鹿島槍方面へと向かい、1名は私と同じく種池方面へと下っていき、最後の1人は私が出発した時にまだ中峰にいたので行き先は不明だ。でも山頂でのんびりしていたので鹿島槍へ向かうことは無かっただろう。

 帰りも南峰山頂に立ってから稜線直上の登山道を下りながら花を探すが、爺ヶ岳は花の種類が少ないので往路で見かけた以上の花は見当たらなかった。ライチョウも見当たらず。振り返ると南峰山頂にガスがかかり始めていた。

 傾斜が緩くなる頃には登りの登山者とポツポツとすれ違うようになる。種池山荘泊まりの人もいれば今朝出発したと思われる軽装の姿も。この天気では鹿島槍まで足を延ばすのか判断が微妙なところだろう。

 種池山荘に到着し、今回は珍しく岩小屋沢岳方面に向かうことに。今回見ていない花があるかもしれないからだ。相当昔に一度だけ針ノ木峠〜爺ヶ岳を縦走したが、その時の記憶は全く残っていない。残っていたとしても高山植物には全く興味が無かった時期なので、どんな花が咲いていたのかはきっと分からなかっただろう。

 まず種池山荘の建物の根元にイワツメクサに似た花を発見。しかし良く見ると花の形状も葉っぱも異なる。帰宅後にネットで調べたが花、葉の両方が一致する植物を探し出すことができず、一番近そうなのがミヤマハタザオだった。山荘の名前の由来である種池は冷池同様に水たまり程度の大きさしかないが、水芭蕉が一輪だけ咲いていた。近くの斜面にはヒメイチゲとキヌガサソウの群落もあり、早速の成果だ。

 種池山荘のテント場は狭いが周囲は樹林で囲まれているので強風を避けることができ、日影も期待できるので立地はいいと言えよう。しかし柏原新道は大人気のコースなので週末の予約はすぐに埋まってしまうのではなかろうか。コロナ禍以降はテント泊も予約が必要となっている。ちなみに私が通過した時はテントはゼロ。見た感じでは30〜40張くらいのキャパシティーと見た。

 テント場から先は下りとなるが、ずっと樹林帯が続いてお花畑を形成するような植物は見られないのが残念だった。樹林帯で見られるイワカガミ、ミツバオウレン、マイヅルソウ、キヌガサソウ、サンカヨウなどが咲いていた。樹林が少し開けて2390m鞍部が見通せる場所があったが、お花畑は無く樹林と笹原でこれ以上の花は期待できそうになかった。おまけにいきなり大粒の雨が落ちてきた! 短時間だったし樹林帯なので派手に濡れることはなかったが、これより先に行っても花も天気も期待できないのでここで引き返すことにした。2390m鞍部付近には岩小屋沢岳方面から縦走してきた登山者の姿あり。時間的に考えて新越山荘宿泊者だろう。

 種池山荘に戻って下山開始。曇り空なので柏原新道の南斜面区間でも比較的涼しく歩くことができた。連休最終日だが登ってくる登山者と3,40人くらいはすれ違ったと思う。下りの途中で蓮華岳、針ノ木岳を見通せる場所があったが、爺ヶ岳南峰から見た時よりも雲の底が高くなっていて、もしかしたら天気は回復傾向なのかもしれない。しかし歩いている位置が雲海の層よりも低くなると頭上は低い雲に覆われて稜線の様子は見えなくなってしまうので、最終的に天気の傾向がどうだったのかは不明だ。

 下りの最中に消防車らしいサイレンの音が近くで聞こえ、扇沢手前の別荘地辺りで何かあったのかと思ったら、登山口に到着したら救急車と消防車(レスキュー隊)が止まっていた! 下りの途中で何人か下りの登山者を追い越したが、歩き方等に異常を感じるような人は皆無だったので私より後から降りてくる人が対象かと思ったが、私が登山口の到着して10分もかからないうちに救急車、消防車とも出発していった。見ていた限りでは救急車に人を乗せたような気配は無し。いったい何があったのか謎だ。

 今回は大汗をかかずに済んだので扇沢で水浴びはせずに車で濡れタオルで軽く汗を拭う程度で充分であった。日差しが無いので登山口でも気温は+20℃前後で快適。柏原新道登山口前の駐車場は埋まっていたが、スノーシェッドを下った先の駐車スペースには車は1台だけであり、通常の夏山の週末より入山者は明らかに少なかった。

 

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